自己血糖測定(SMBG)

甲状腺イラスト

血糖値は日常生活の中でも常に変動しています。食事のメニューや量によって食後の血糖は大きく変わるほか、運動の後にさがったりとさまざまな要因で変化をします。

診察時の採血ではそのときの血糖値や過去2ヶ月程度の平均的な血糖の状況を推定するHA1cなどを組み合わせて患者さんの日常での血糖コントロールを推測しますが、血糖値そのものを患者さんが測定することでよりよい血糖コントロールを目指す方法として血糖自己測定(SMBGself monitoring of blood glucose)があります。

 

指先に専用の針を用いて血を出して簡易血糖測定器で測定します。いつでもどこでも測定ができるため、先ほど述べた食事や運動などによる血糖の上下動に対して患者さんひとり一人にあった対策を立てやすくなります。また、低血糖の時やシックデイの時の対応にも重要な指標となります。インスリン治療を受けられている患者さんなどでは保険診療にて実施できるほか、ご自身で機材を購入して実施される方もおります。

当院では主に、グルテストアクア、アキュチェックガイド、フリースタイルリブレといった血糖測定器を使用しています。

持続血糖測定(CGM)

インスリン強化療法中の患者さんなど一日に何回も血糖測定が必要な方や、毎回血を出して測定することが難しい患者さんでは持続血糖測定器も用いられます。持続血糖測定器(CGMContinuous Glucose Monitoring)とは、皮下に刺した細いセンサーにより皮下の間質液中の糖濃度(間質グルコース値)を持続的に測定することで、1日の血糖変動を知ることが出来る医療機器のことです。血糖値と皮下の間質グルコース値はほぼ同じなので、1日の血糖値の動きが持続的に視覚的にわかります(以下ではまとめて血糖値と表記します)。

医療機関で装着して次回の診察時にその間の血糖変動データの解析を行って治療方法の見直しを行うプロフェッショナルCGMの他に、インスリンポンプ療法などで用いるリアルタイムに血糖値が表示され患者さんが把握できるパーソナルCGMがあります。

 

さらに間歇スキャン式持続血糖測定器(FGM:Flash Glucose Monitoring)と呼ばれる医療機器があります(写真は当院で使用しているアボット社のリブレ)。これはCGMと同様に皮下の間質グルコース値を持続的に14日間測定できるセンサーを上腕に留置し、ICカードのように、センサーにリーダーをかざすことでその値を確認できます。先ほどもふれたようにこの数値は血糖値そのものではないので値にずれがあるため適宜SMBGを併用するなどの対応が必要ですが、血糖変動が目に見えること・目標血糖値(70-180mg/dl)にどのくらいの時間が収まっているか(TIR : Time in Range)といったSMBGでは得られない情報が得られるというのは画期的です。

2023年12月にリブレ2と呼ばれるリアルタイムCGMが我が国でも使えるようになります。詳細はまだ決まっていませんが、必要な患者さんにはご提供できればと思います。