抗インフルエンザ薬の予防投与について

 

インフルエンザの爆発的な流行に伴って、抗インフルエンザの予防投与についてお問い合わせが増加しておりますので当院での対応を記載しました(2025年1月9日現在)。

 

 インフルエンザの感染予防を目的とした抗インフルエンザ薬の予防投与は、「抗インフルエンザ薬の投与に際しては、薬剤の必要性を慎重に検討するなど、添付文書に記載されている内容を踏まえ、適切に使用する」という厚生労働省の通知に準じて行っています。

 

添付文書上の予防投与の適応者は、

インフルエンザウイルス感染症を発症している患者さんの同居ご家族、又は共同生活者であり、下記に該当する方となります。

1.高齢者(65歳以上)

2.慢性呼吸器疾患または慢性心疾患患者

3.糖尿病などの代謝性疾患患者

4.腎機能障害患者

 

罹患されている方との接触状況や重症化リスク、併用薬などから投与の可否を判断するために診察を行うため、投与を希望するご本人の受診が必要となります。この診察(お渡しする薬剤も)は健康保険の適応外の自費診療となります。当院かかりつけでない場合は、病状や併用薬を確認するためお薬手帳や血液検査結果などもご持参ください(診察の結果、処方しない場合もあります)。投与適応と判断された場合、使用する薬剤にもよりますが5000円から10000円程度の負担が生じます。

 

一方で誤解されている方も多いのですが、検査で陰性でも抗インフルエンザ薬を処方する場合はあります。あくまで検査は診断における判断材料の一つであり、同居のご家族がインフルエンザに罹患しているなどの背景、診察所見などから臨床的にインフルエンザと診断することがあるのです(そもそも昔は抗原検査キットなどありませんでしたし臨床診断だったわけです)。高熱でぐったりしている場合や重症化リスクが高い場合には臨床判断として抗インフルエンザ薬の処方を行います(この場合は検査で陰性でもインフルエンザの診断として登校・通勤を控えて自宅療法を行っていただく必要があります)。

 

ただし現在インフルエンザ・新型コロナウイルスが同時に流行しており、新型コロナも除外する必要があります。なお、ご自宅で実施した検査については陰性の場合もきちんと検体採取ができていない可能性もあるため、来院後再度検査を行う場合もあります。